アダルト系の制作者なら注意しておきたい日本の法律とは

※ 2018年の情報です。……今後「法改正」されると、この記事の情報が正しくなくなる可能性もありますので、予めご留意下さい。


◆ はじめに

猥褻(わいせつ)」という言葉の「定義」をご存知でしょうか?

もし、この定義を知らずに「猥褻的な表現を含むアダルトコンテンツ」を制作していると、対応が悪ければ「わいせつ物頒布等の罪」で警察に逮捕されます。


アダルトコンテンツの制作者は、「性に関する法律や、道徳、倫理」を理解していなければならず、また、何らかの問題が起きたときには、道義的な対応をとらなければなりません。

しかし、どういったものが問題なのかを明確に把握していれば、成人向けコンテンツを安全に作成することができたり、ギリギリの表現まで執筆することが可能だったりします。

(規制運動が起きると、余儀なく撤退させられることもありますけどね……自主規制や訴訟も然り)


ここでは、そんな「エロいコンテンツの注意事項」に関することを色々と説明していきます。


◆ 注意事項

・法的な面での留意点

ここで説明していることは、あくまで「私が記事を書いた時点での日本の法律」を参考にしています。

今後、何らかの要因で規制が厳しくなったりすることもあるので、その点には気をつけて下さい。


・私的な認識の違いについて

この記事を制作するにあたって、法的な面に関することを調べているものの……私の考え方が間違えており、発言が誤っている可能性もあります。予め、ご理解ください。


・アダルトと法に関することは、自分の意見をしっかり持っておく

基本的に、成人向けのジャンルを扱っている方は、自分自身で「アダルトと法に関すること」を調べて、そのことを理解しています。

(そうしないと、どこまでが安全で、どこまでが危険なのかがわかりませんので……)


なので、私や他者の発言を鵜呑みにはせず、自身で色々と調査して、理解を深めておきましょう!

(ネットの意見が正しいとは限らないし、専門家は大丈夫と言っても、実際には裁判してみないとわからないことがあります……。ただ、アダルトジャンルの法的な側面において、リスクを少しでも減らすくことは、とても大切なことですよ)


◆ 性表現と法律に関する問題

◇ 猥褻とは

猥褻の定義は、

——

1,性欲の興奮、刺激を来すこと

2,通常人の羞恥心を害すること

3,善良な性的道義観念に反すること

——

の全てを満たしたものと定義されています。

……もう少し簡潔に述べると、「普通の人が(凄く)エロくて恥ずかしくて背徳的と感じたもの」でしょうかね。


この「猥褻」を満たした「動画、画像、絵、文章」などを「有料、無料」に関わらず、配布したら「わいせつ罪」に問われることがあります。

(配布は、ネットも含みます)

(成人向けとハッキリ表記した上で、トップページに18歳以上の確認ページを置いて、怒られたらすぐに撤収させるようにしたとしても、ダメなときはダメです)


上記の内容を見たらすぐにわかると思いますが、この猥褻の定義というは曖昧です。

「背徳的」の条件さえ満たせば、エロいものは「エロくて恥ずかしいもの」を満たすことができるので、猥褻と決めつけることができてしまう……かもしれません。


追記:「善良な性的道義観念に反すること」について

これは、強姦、獣姦、リョナ、屍姦、キメセク(麻薬などのドラッグを使ったセックス)などが強く表現されていると、「わいせつ」や、「公序良俗の違反」に該当する可能性があります。ご注意下さい。


◇ 背徳的でないものについて

和姦(互いの合意の上での性交)や、通常の恋愛から発展する性行為とかは、猥褻には該当しません。

そのため、和姦モノは(他の性に関する法律も対策しておば)安全です。

(ここでの「安全」は、比較的安全というだけです。……絶対に安心できるというわけではありません)

もし猥褻と判定されるのが怖いと感じるようであれば、アダルトコンテンツは作らない、もしくは、道徳的な性表現だけに留めておくのが無難でしょう。


◇ 背徳的なものと猥褻の関係について

アダルトサイトを見るとわかりますが、背徳的な表現のものは大量に転がっています。

中には、猥褻に該当しそうなものも、たくさんありますね。

しかし、これらのものを制作している人の99%以上は、検挙されたりすることがありません。

理由は、猥褻と言いきれるかどうかがわからないからです

——

・猥褻を決める人について

背徳と決めるのは、警察や検察官ではなく、裁判長です

裁判長が、これは「猥褻ではない」といえば、背徳的表現が強いアダルトコンテンツであっても、猥褻ではなくなります


・警察の動向について

日本の警察は、ほぼ確実に勝てる裁判でないと、勝負に出ません。

何となく猥褻程度では、猥褻にするのが難しいため、特別な理由がないなら、刑事訴訟を行うメリットは薄いですね。

——

これにより、猥褻となりそうなものであっても、警察が勝利を確定できる要件でなければ、起訴されず、それは猥褻ではないのです。


……何か、変に見える話なのですが、この記事を書いた時点での「日本の乱れた性を規制する法律」がそんな感じなので、そんなものなのです。

(ちなみに、風俗に関係する法律とかも結構曖昧だったりします)


上記の内容をまとめると、

——

背徳的な表現がある限り(というか、エロ表現である限り)、絶対安全というのは存在しない。

だけど、警察が動こうと思わない内容であるなら、おおよそ安全である。


——

になります。


◇ 警察が猥褻と認識しそうな要素について

・児童ポルノ

児童とは「18歳未満の人物」のことを指します。未成年ですね。

(現実に存在する人物の)未成年の過激なエロ表現は、何がどうあってもアウトです

より詳しい説明は、下の方の項目に記述。


・画像に性器がそのまま表示されていた(無修正)

警察は、これを猥褻の定義の1つとしているはず。


・有名となった犯罪に内容が類似している

この場合は予め自主規制しておきたいです。


・犯罪を強く助長させるような内容がある

犯罪を誘発させやすい内容があると危険ですね。


・多くの人が警察に猥褻と申し出た

例え警察が動かなくても、見ている人の多くが猥褻と申し出るぐらいに猥褻らしきものは、アウトになりやすいです。

(権力者が動いた場合も同様。松文館裁判の例など)


・その他、見逃すと望ましくない問題が発生する内容

社会的な問題を呼び起こしそうなものは、控えるべきかと。


・著作権法違反

著作権を侵害しているものは悪質と認識されやすいです。


・売春モノ

直接的な「お金のやり取り」によって性行為がなされている表現があるものは、取り締まりの対象になるかもしれません。


・反社会的な要素

内容単体ではそこまで悪質とは見なされませんが、何か別の問題とセットになった場合や、反社会的な要素が積み重なったりすると、監視の対象になりやすい……かも。


◇ 猥褻関連で比較的安全にする方法

——

・上記で説明した「◇ 警察が猥褻と認識しそうな要素について」を全て回避

・警察に悪質と思われる性的な要素を1つでも多く排除

・健全(道徳的)な性表現を心がける

・エッチに関わる人物は、全員18歳以上にする

・背徳的な表現がある場合は、事前に警告を述べる

・制作コンテンツの場合は、現実の人物を起用しない

・裁判官や警察の機嫌を損ねないようにする

・制作中に危険と感じるようであれば、没にする

・創作系の場合は、空想のものを用いる

・何か問題があったら、反省の意を明確に表してから、問題となる点を改善する

——

性に関する法律の対策を万全にしておけば、よほどの不意打ちを受けない限り、即時逮捕とかにはなりません。

警察も職権乱用をするわけではないので、「どうしてもお前を逮捕しなきゃダメなんだ!」という状況に追い込まれない限り、注意や指導で済むと思います。

(原則として、警察は、確実に逮捕できそうな人や、違法性が高い人から逮捕していきます)


◇ 18禁かどうかの認証ページについて

成人向けの有料サイト(何らかのデータや物を直接売るサイト)の場合は、風俗営業法の中の「映像送信型性風俗特殊営業」の届け出をする必要があるのですが……、

無料でサイトを運営するケースだと、アフィリエイト(バナー広告など)で収益を上げるぐらいの範囲なら、 映像送信型性風俗特殊営業には当てはまらないと思います。

そのため、無料サイトでアダルトコンテンツを公開するのであれば、「18禁の認証ページ」を作る必要は特にないと考えられるかな。

(DLSite等の委託会社を介して、アダルトコンテンツの販売を行う場合も、申し出をする必要はありません)


……ですが、届け出は不要であっても、成人向けのジャンルを取り扱っているのであれば、そのページが18禁であることは必ず明記しておきましょう

(サイトを見たら、すぐに「R-18のサイト」であることを認識できるのが望ましいです)

(有料サイトと同じように「18禁の認証ページ」を作るのも悪くないと思います)


もし、運悪く警察沙汰に巻き込まれてしまった場合は、未成年には見せようとしない意志があったかどうかで、その後の対応が大分変わりますからね


◆ 性表現などの対策

◇ 「おちんちん」と「おまんこ」という言葉を隠すことについて

アダルト系の制作者の多くは、3文字目に「○」を入れて、性器名を隠します。

「おち○ちん」「おま○こ」ですね。

「おちんぽ」「おまんまん」などの類語も同様です(比喩は別)。


これは、極力導入しましょう(特に、女性器名は隠すことを強く推奨)

たった1文字を隠すように設定しているだけでも、自主規制の意志があったかどうかの判定が大分変わるため、法的な安全性を少し高めることができます

(他にも、自主規制しておいたほうが良いような単語は、「○」で隠しておくことをオススメします)


◆ 児童ポルノに関して

アダルトサイトを運営する上で、絶対に注意しなければならない点ですね

「18才未満で、性的な興奮を刺激する画像、動画」は、「児童ポルノ」に該当します。

(「性的な興奮」という定義が、かなり曖昧な法律です)

(18歳であっても、女子高生だった場合は、同じく児童ポルノになります)


18歳未満のエッチな画像や動画を、アップロードして公開。

もしくは、児童ポルノと認知しながら自分のパソコンやスマホ等にデータを入れていた場合(意図的な単純所持)は、違法となって「逮捕」されます。


それと、以下の点に注意です。

——

・年齢確認が取れない、18歳未満に見える女の子は、アウト

AV女優として登場する方は、原則、年齢確認が行われているので全員18歳以上ですが……素人による動画撮影で生成されたコンテンツにおいては、18歳以上ではない可能性があります。

これらを動画リンクで公開したり、写真をアップロードしていたりすると、撮影者本人(18歳未満の女の子)の同意が取れていたとしても、アウトになります。


・水着を着たロリータ(18歳未満の女の子)でもアウトの可能性あり

いわゆる「イメージビデオ(アイドル動画)」のことです。

「児童の性的な部位(胸やお尻など)が露出され、又は、強調されているもの」「性欲を興奮させる、又は、刺激するもの」の2つが組み合わさると、アウトですね。


なお、「乳首」や「女性器」などは、速攻でアウトだからわかりやすいのですが……、

例えば「わき」を接写して、「一部の人だけが性的な興奮を覚えた」とかは「謎(グレー)」になります。

(しかし、皆がアウトといえば、アウトになるかもしれません……)

——

とりあえず、上記2つの要素は、避けておいたほうが無難です。

(……より詳しい説明は、「児童ポルノ – Wikipedia」をどうぞ)


それと、児童ポルノの考え方は、「現実の女性を守るため」のものであり……現時点での日本なら、「創作上の物は(2次元やフィクションは)」児童ポルノに該当しません

(オーストラリア等、一部の海外の国では「創作された画像」でも「エッチなロリ」だとアウトです)

(いずれ、ニ次元の取締も強化される可能性があります……。前に一度、それ関連の提案がされていましたし……)


◆ 無修正画像、無修正動画などに関して

日本においては、「ヴァギナ」「クリトリス」「ペニス」などの、性器に該当する部分は、モザイクを掛けずに公開することができません。

(乳首や肛門(アナル)は、無修正でも一応問題ないです。……ただ、アナルは「自主規制」でモザイクが入ることが多いですけどね)


もし、モザイクをかけずにサイトで公開すると、わいせつ(猥褻)に関する法律に該当して、「逮捕」されます。

……後、運営を国内で行っていた場合だと、例えサーバーが海外にあってもアウトになります

(運営者が海外に在住していて、日本に向けてデータを配信している場合は、海外の法律に依存します。アメリカなら無修正でもOKですね)


◆ 上記の法律違反に対する「対応」と「逮捕」に関して

「自分が意図せずにやったかどうか」は、かなり重要な判定ラインでして……その後の対応で判定が変わってきます。

——

1,わいせつと知っていてやっていた

通報されるとアウト。


2,わいせつと知らずにやってしまった

注意された時点ですぐに行動を起こし、「該当するコンテンツの削除」+「謝罪」+「反省の表明」があれば、「厳重注意」ぐらいで済む事が多いです。

しかし、注意されても行動しなかったり(いい加減な対応)、警察に指導されても反省の意が全く感じられなかったり、何度も繰り返し行なった場合は、アウトになります。


3,リンク先の画像呼び出しにより、自分のサイトに、わいせつな画像が勝手に表示されていた

アンテナサイトの運営でよくあるパターン。紹介しているリンク先が無修正画像をアップロードした場合ですね。

気がついた時点(もしくは、連絡を受けた時点)で、削除すれば問題ありません。しかし、そのまま放置を続けるとアウトになります。

削除する意志があったかどうかが、「判定の分かれ目」になります。

——

児童ポルノと無修正は絶対使わない! という意志表明と行動があれば、わりと大丈夫だと思います。


◆ 著作権コンテンツのアップロードに関して

自分が作成していない(著作権の権利を持っていない)エロ動画を勝手にアップロードするのは違法です。逮捕されます。


◆ アダルトサイトやエログを運営する場合で、気になるところ(日本国内での運営の場合)

・著作権的に違法なアップロードされたコンテンツ(動画とか)を紹介

知っててやった場合は「グレー」。これ単体で逮捕者が出た例は、聞いていませんが……、今後の法改正や警察の対応で変わります。

逮捕の例が出ました

児童ポルノ関連や、裁判官の心証とかで結果が変わったりするみたいですが……逮捕された事例があるので、これはアウトではないでしょうか。

アダルトアフィリエイトで「安心して収入を得たい場合」は、扱わないようにすべきでしょう。


・海外の無修正サイトにリンク(テキストリンクを含む)

国内運営でのリンクは、多分アウトです(海外の無修正動画を紹介するアフィリエイトも同様。カリビアンコムとか)。

……例えアウトでなくても、今後は、ほぼ確実にアウトになるでしょう。

海外の無修正サイトにリンクを貼るのは止めておくべきですよ。


補足:なぜ、この件をアウトにするのか

2017年以降、警察が活発な対応を始めたからです。

それと、裁判官の考えに「海外の無修正サイトに直接リンクするのは、猥褻を推奨している行為」というのが多くあったからかな。

例えグレーゾーンであったとしても、起訴されると、よろしくない可能性が高いですね……。


以上です。

もし、アダルト系のコンテンツの制作を行っているなら、同業者の対応と対策をよく観察しておきましょう

性の規制に関する情報を集めていけば、そのうち、どう行動すべきなのかが見えてくるはずです。






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