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母乳大好きクラブで調教生活
ヒロくんの通う保育園の玄関前。
私と洋介が揃って行くのは、この前のお遊戯会以来だったかもしれない。
「入院、ですか」
担任の先生が、私をじっくり見ながら、驚愕の表情を浮かべる。
「ええ。大したものではないんですが、3か月くらいかかってしまうみたいで……」
「そっ、そんなに!? 大丈夫なんですか?」
「ああ、その……」
私は困って、洋介に助けを求めた。
「いやね、妻は腰痛持ちだったんですよ。いつかは、長い時間かけて、ちゃんと治さなくちゃいけなかったんですけど……」
冷静な顔で、さらっと嘘をつく。
……だが、『実は性開発の調教してもらいに行くんですよ』なんて、口が裂けても言えるわけがない。
「そうでしたか」
安堵のため息が漏れて、先生は私を見た。
「お大事になさってください。ヒロくんのことは、ぜひお任せいただいて」
「はい……」
私を見つめているヒロくんに笑顔を返しながら、力の無い返答を行う。
大して事情も説明していないが、ヒロくんは子どもなりに、母親が長い間いなくなるということに気付いているのだろう。
「ママ」と覚えたばかりのことばで、しきりに袖を引っ張る。
私は「大丈夫だからね」と言って、彼の頭を撫でた。
「大丈夫」
その言葉は、ヒロくんにではなく、むしろ私自身に言い聞かせているようなものだった。
「それじゃあ先生、よろしくお願いします」
洋介の運転する車の助手席に乗り込み、頭を下げる。
先生とヒロくんが手を振っているのを見て、洋介がアクセルを踏み込んだ。
「……私がいない間、ヒロくんのこと、よろしくね?」
「もちろん」
洋介はニコッと笑って、カーステレオの電源に手を伸ばす。
「……これ……」
流れてきたのは、昔、洋介とデートしたときによく聞いた音楽。
「俺、玲奈のことを愛してるよ。あの時からずっと変わらず」
「そっ……!」
いきなりの告白に、心臓が高鳴る。
「そんなことっ、今言わなくてもいいでしょっ?」
「いや、今だから言うんだ」
車は国道をそれて、細い道に入った。
「これから数か月も会えないんだぞ?」
「でも、テレビ電話はあるって」
「面と向かっては、会えない」
私を『おっぱい大好きクラブ』に送り出すのは、洋介にとってもつらいことなのかもしれない。
「今だから、きちんと伝えておきたかったんだ」
「……うん」
私は、そっと洋介の太ももに手を当てた。
「私も愛してる」
洋介のために……そして、私のために。
……絶対、開発を成功させなくちゃ。
……そう決意はしたものの。
「ねえ、本当にこの道であってるの?」
「大丈夫だって」
洋介は微笑んでいるが、私は心配でたまらない。
車で、もう1時間ほど揺られているというのに、どんどん険しい山道になっていく。
「ほら」
洋介がアゴで指した先に、うすぼんやりと明かりが見える。
「あの洋館」
「……不気味」
「なんでも、偉い人の別荘だったとか。それを時也先生が格安で払い下げてもらって、調教場所にしてるってわけ」
「ふうん……」
車がだんだんと進むにつれて、建物の全貌が明らかになる。
「コレ……!?」
大きい。大きすぎる。
別荘というよりは、小旅館に近いイメージ……高校生たちが、合宿でもやりそうなほどの、大きな建物。
「時也先生って、ここに、1人で住んでるの?」
「いや、お付きのメイドさんが2人いるよ。休みの日になったら、おっぱいプレイを楽しみにくる男の人もいることがあるし……それに、調教途中のひとがいるかもしれない。玲奈みたいなね」
「っ……」
そうだ……私、これから調教されるんだ……。
「心配しなくても大丈夫」
洋介は、やっぱり笑っている。
「時也先生は紳士的な人だから。玲奈にひどいことなんて、しないよ」
「本当に?」
「ああ。とっても気持ちよくしてくれるだけ」
駐車場に、車が流れ込んでいく。
1台も、ほかの車はない。
「玲奈」
彼が、私に唇を差し向けた。
「ん……ちゅっ……くちゅっ……ーっ……!」
強くそれに吸い付いて、舌を入れる。
答えるように、絡みついてきて、幸せだ……。
「んっ……ふっ……あふっ……」
この幸福とも、しばらくお別れだなんて……。
ゆっくりと、温もりが離れていく。
「心配しないで」
洋介が、車を降りた。
「行こう、時也先生が待ってる」
———-
館の入り口に、メイド服姿の女性が2人立っていた。
はち切れそうなほど大きなおっぱいの谷間が、ざっくり空いた胸元から見えている。
「久しぶり」
洋介がそういうと、2人とも優しく微笑んで、「いらっしゃいませ」と頭を下げた。
……この人たちも、時也先生に、すでに調教されているのだろうか……。
「先生はロビーにおいでですよ」
「ありがとう」
手慣れたように、洋介は入り口の扉に手をかけた。
「お待ちしていましたよ」
「すみません、遅くなりまして」
見知らぬ男性に声をかける洋介。
この人が、時也先生……。
想像していたよりも、ずっと歳が上だ。
見た感じでは、50歳くらいだろうか……。
ロマンスグレーの髪に、小さな丸眼鏡。
調教師というよりは、図書館で働いているおじさんや、喫茶店のマスターといった風貌に近いようにも感じる。
「いえいえ、いいんです。洋介君が見初めた奥さんということなら、どれほど可憐でいやらしいのかと思うと、居ても立ってもいられなかっただけですから」
「っ……!」
突然のことばに、何も答えられない。
「おやおや、顔を赤くして……意外と、奥手な方なのですか?」
「いや、大人しくしているだけですよ。Gスポットまでは開発してあります」
「ちょっ、ちょっと洋介っ!!」
「ほっほっほ……恥ずかしがることはありませんよ、玲奈さん」
こつん、こつん、と革靴の音が響く。
「仮に洋介君が言わなかったとしても、この私には、すぐに分かります……何処が感じて、何処が『まだ感じられない』場所なのか」
時也さんの目には、絶対の自信の色があった。
……きっと、本当なのだろう。
「それでは、洋介君」
「ええ」
彼はそれだけ言って、私の肩を軽くたたき、背を向けた。
……急に心細さが加速して、緊張が高まっていく。
「玲奈さん。既に洋介君から聞いているとは思いますが……始める前に、ルールを再確認しましょう」
時也さんの笑みは、優しげなんだけれど、どこか冷たくて、怖い……。
「ここでは、私の指示が絶対です。貴女には、逆らう権利はありません」
「……はい」
「命にかかわる病気など、どうしても止むを得ない理由がない限りは、私が納得するまで、貴女をしっかりと淫乱にして差し上げます」
しっかりと、淫乱に……思わず、のどが鳴った。
「それから、1日1回、20分間だけ、洋介君とのテレビ電話を許可します。どんな内容を話しても構いません。いいですね」
「はい」
「よろしい」
時也さんが、また微笑んだ。
……威迫的な目……絶対に、私を雌に仕上げるという、強い意志を感じる……。
「では、上着を脱いで」
少し戸惑いながらも、「さあ」という彼の言葉に押されて、私はカーディガンを脱いだ。
「玲奈さんは、基本的にこの館から出ることはありません。あるとしたら、それは調教の一工程です」
腕が差し出された。
「その上着を、こちらへ」
「……はい」
丸めて、時也さんに手渡す。
「そうです、よくできました」
彼は受け取って、それを手近な台に置いた。
「まだ、緊張していますね。リラックスできませんか?」
「だって、その……調教なんて初めてで……」
「誰でも、最初はそうです」
もう一歩、時也さんが近付き、私の腰に手をまわした。
「あ……!」
「心を楽にしてください。目をつぶって、私の言葉だけに、意識を集中して」
「心を、楽に……」
言われるがままに、目を閉じてみる。
「そう……いい子、いい子……」
少しがさ付いた手が、耳を撫で上げる。
「貴女は本能的に、誰かに命令されるのが好きなんですね?」
「そ、それは……」
「嘘やごまかしは、通用しませんよ」
ささやくような、甘い声……脳の奥が、とろけてしまいそうな……。
「玲奈さんは恥ずかしがっていますが、心の底では淫乱になりたがっています。洋介君のために……そして、自分のために」
「っ……!」
「リラックスして……慌てたり、怯えたりする必要はありません……だって、ここに来る女性は、みんなそうですから……愛する人のため、快楽を貪りたいために、淫乱な雌にしてほしくて、調教を受けるんです」
頬を、唇を、指の腹が撫でていく。
「中でも、玲奈さんには素質がある……淫乱な、マゾの素質がね」
私は何も反論できなかった。
まるで、すべてを見透かされてしまったような気がして……。
「こんなスケベな体を持て余して……これまで淫乱になり切れなかったのは、さぞ辛かったでしょう」
時也さんの手が、鎖骨を撫で、ブラの脇を通って、わき腹をさする。
「やっ……んん……っ!」
思わず、吐息が漏れた。
「これから、私が貴女を、最高の雌にしてあげます……」
優しく語りかける時也さん。……彼の手は、私のイイところばかりを撫で上げる。
「……あっ……ありがとうございますっ……」
何故か、同意の言葉を漏らしてしまって……私の体の中が、じゅんっと熱くなるのを感じた。
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