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「おじゃましま~す!」
カフェの約束の日。
結愛は、私の家に来た。
「お~、似合ってるじゃん、その服! どこで買ったの?」
「んーっ? これっ?」
姿見の中で、ひらひらと薄桃色のフリルが揺れる。
この前、街角で一目ぼれして、買ったばかりの服だ。
「相変わらず、けしからん体をしよって~!」
結愛が、私の後ろからぎゅっと抱き着いた。
「ひゃっ、ちょ、ちょっとぉ……」
一瞬、体が、びくりと浮いた。
あの時、昨日電車で感じたエッチな気持ちと似た、変な快楽を感じてしまう。
彼女を引きはがして、もうっ、と言った。
「あのさ……結愛の言ってたスポバン、だっけ?」
私は結愛をじっと見た。
あの話――スポバン(スポットバン)の話をしなくては。
「あれ、何なの……?」
「どう? 続いてる?」
「え……? いや……まぁ……」
結愛のニコニコした顔とは対照的に、私の気持ちは沈んでいた。
いくら親友とはいえ、あんなことになってしまったというのを説明するのは、やはり恥ずかしい。
だが、言わなければいけないような気もする。
「……実はぁ」
私は、大きく息を吐いてから、彼女の瞳を見た。
「昨日から、してないの」
「……え? なんで?」
結愛の顔が、明らかに曇った。
「昨日、バイトがあってね。電車に乗って行ったんだけど、そのときに、その……。
おっぱいが、気持ちよく……なっちゃって……」
頭に、血が上っていくのがわかる。
顔が、燃えるように熱い。
「その……ナイショだよ? 結愛にだから、言えることなんだけど……」
私は、ごくりと、唾を飲み込んだ。
「電車の中で、エッチな気持ちになっちゃって……お股が……じんじんして……」
「はは~ん」
結愛の手が、ぽん、と私の肩を叩く。
「なるほどね~。そういうこと、あるよね~」
「えっ? そっ、そうなのっ?」
「ま、ひとまずベッドに座ってよ」
「あ、う、うん……」
私は、彼女に促されるまま、ベッドに腰を下ろした。
「乳首開発はね、怖いことじゃないんだよ」
結愛は、私に後ろから抱き着いてきた。
「ゆっ、結愛……?」
「大丈夫だから、ね?」
彼女の、少しひんやりとした指先が、服の中に潜り込んでくる。
「ひゃっ、えっ……?」
「安心して……リラックス、リラックス~」
結愛が、耳元で囁く声は、私の脳に甘く溶けていく。
「ブラ、外すね~」
「……なんで?」
私の警戒したようなことばに、結愛は、くすりと笑った。
「開発の状況を確認するのも、開発責任者である私の務め、ってやつでしょ?」
「責任者って、そんなぁ……んっ……ふぅっ……」
彼女がおなかをまさぐると、思わず、変な息が漏れた。
「ほら~、いいからいいから……」
するりと、彼女の手が、私から上着をはがす。
そして、少しの迷いもなく、ブラジャーのホックを外した。
「やっ……」
私は、否定的な発言をしたものの、友達の大胆な行動を、止めようともしない。
……もしかしたら、何かに期待しているのかもしれなかった。
頭では、必死に否定しようとしているのに、体が、それについてこないのだ。
「ん~っ……」
結愛が、私のおっぱいを、むにっ、と下から揉み上げた。
「はぁっ……んぅっ……」
「感度は、かなり上がったのかな~?」
「ひゃんっ……やぁっ……うぅ……あっ……やめっ……結愛ぁっ……」
おっぱいを撫でられると、変な声が漏れてしまう。
それに、背中が、勝手にのけ反ってしまう。
「もうちょっと、スポバンは続けたほうがいいかな~?」
「やっ、やだよぉっ……」
私は、目に涙がたまっていくのが分かった。
「怖いのっ……私ぃ……おかしくなっちゃってるからぁ……」
「大丈夫だってば……」
結愛が、私の耳を、ぺろりと舐めた。
「ひぁっ!?」
「スキありぃっ~!」
瞬間、彼女の指先が、私の乳首を、きゅっと摘まんだ。
「んぁぁっ!? ちょっ……結愛っ!?」
「ムフフ……私に任せて……桃花が、開発を続けたいって思えるように、してあげるから……」
見ると、人差し指と親指が、私の乳首を挟んでいる。
それが、くりくりと、紙で『こより』を作るときのように、動いている。
「んっ……ふぅっ……はっ……ぅぅ……」
止めさせないといけないはずなのに、なぜか、それが出来ない。
私は、両手をお腹の前で交差させたまま、じっと、結愛の行為を見ていた。
「はぁっ……んうぅ……ゆっ……結愛ぁっ……」
「大丈夫……私はここにいるからね~」
彼女に、上半身の重さを預けている。
ぽわーっ、として……あたたかい眠りに落ちていくような……そんな気持ちよさ……。
お母さんに抱きしめられている赤ちゃんのように、穏やかな気持ち……。
「ぁぁんっ……はっ……」
口から漏れる私の声は、まるで自分のものじゃないみたいに甘く、私の耳に届いてくる。
「結愛ぁ……」
彼女の名前を呼ぶと、もっと気持ちよくなる……。
「私ぃ……おかしく……なっちゃうぅ……」
「だから、大丈夫だって~」
結愛の指先が、乳首のさらに先端を、クリクリといじり続ける。
「んうぅぅっ……!」
目をつぶって、その刺激に身をゆだねた。
決して、痛いわけではない。ただ、我慢できないほどに、気持ちがいい。
……止めて欲しいはずなのに、このままずっと、続けて欲しい……。
「ね? おっぱい、気持ちいいでしょ~?」
結愛のことばに、私は首を縦に振った。
「ぅんっ……きっ……気持ちいいっ……」
「開発を続けたら、も~っと、気持ちよくなれるよ?」
「そ、それはぁっ……」
私は、それでも、戸惑った。
この前みたいに、電車に乗っているときに、あんな気持ちになっちゃうのは、さすがに困る……。
けれど、この気持ち良さは……。
「……それじゃあ、桃花が、どうしても開発を続けたい、って思うように、してあげる」
「ふぇっ……?」
結愛は、さっきまで優しくいじっていた乳首を、ぎゅっとつねった。
「んひぃいぃっっ……!」
柔らかな痺れが走る……だけではなかった……。
「んぁっ……!?」
私は間抜けな声を出して、その感覚に意識を集中する。
……今のは……なに……?
「どう?」
「ど、どうって……」
確かに、少しだけ痛かった。でも、それだけじゃなくて……。
その向こうに、ちょっと……ほんのちょっとだけ、気持ち良さがあった。
「……分かんなかった? じゃあ、もう1回……」
「あっ、結愛っ……んはぁっ!?」
びくん、と大きくからだが跳ねた。
さっきよりも、もっともっと大きな快感が、胸と背中を突き抜けていく。
「なんだ~、ちゃんと感じてるんじゃん、ムフフフ……」
キュッ、キュッ、と、リズミカルに、結愛の指先が私の乳首をいじり回した。
「はっ……やぁんっ……んあっ……やめっ……あっ……はぅぅっ……!」
そのたび、私は情けない声をあげた。
……今まで、こんなこと、なかったのに。
いや、こんな風に、おっぱいをいじめられたことが無かったから、知らなかっただけなのかもしれない。
でも、この気持ち良さは……。
「あんっ……やめてぇっ……結愛ぁっ……だめっ……!」
知っている……この感じ……。
この前、お風呂場でした時と同じ……ひとりえっちの時の気持ち良さに、すごく似ている……!
「えっちなっ……えっちな気持ちにっ……結愛ぁっ……お願いぃっ……」
親友には……いや、親友だから……。
恥ずかしい瞬間は、見られたくない……!
「いいよ、桃花……」
結愛の声が、私にかかった、最後の枷を、外していく……。
「桃花の、可愛いイキ顔……私に、見せて……」
「んぅっ……結愛っ……結愛ぁっ……やっ……」
ダメっ……そんなこと言わないでっ……。
イっちゃうっ……イカされちゃうっ……!
結愛のっ……友達の指でっ……おっぱいいじられてっ……!
「あっ……ふっ……んんっ……あっ……ああっ……!!」
ビクンッ、と、体が跳ねた。
ガクガクと腰が震えて、何かに抱き着きたくて仕方ない。
「結愛っ……結愛ぁぁっ……!」
切なくて、彼女の名前を何度も呼んだ。
呼べば呼ぶほど、内側から気持ちが昂ってきて、抑えられない。
「あぁっ……はぁぁぁっ……!」
幸せなはずなのに、切ない。
息が苦しくて、顔が熱くなっているのがわかる。
「ムフフ……よくできました~……」
結愛は、私をベッドに寝転がすと、覆いかぶさるように私に抱き着いてきた。
「ほら、ギューって、したいでしょ?」
まるで、心の中を見透かされているみたい……。
それでも、私は彼女に抱き着いた……そうしたくて、たまらなかったのだ。
「……おっぱい、気持ち良かった?」
「……うん……」
結愛の腕の中で、こくこくと、何度もうなずいた。
「……今日から、また開発、続けられる?」
……私は、黙って、彼女の腕におでこを押し付けた。
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